コンクリートのひび割れ(クラック)について
- 投稿日:2017年 4月12日
- テーマ:飯塚 幸博
- 投稿者:飯塚 幸博
お世話様です。フォレストスタジオ 二級建築士・一級建築施工管理技士の飯塚です。
今日はコンクリートの「ひび割れ」についてのお話です。
新築なのにコンクリートの基礎にひび割れが出たり、庭のコンクリート土間にひび割れが発生することがあります。しかしこれは珍しいことではありません。
なぜなら、コンクリートは乾燥収縮や膨張をする性質がありますので、ひび割れることがある素材です。 むしろひび割れない方が不思議とも言えます。
ひび割れには、大きく分けて2種類あります。
■ひび割れの種類
1.ヘアークラック
乾燥収縮や膨張などによって表面に生じた髪の毛ほどの幅(0.3mm以下)深さ4mm以下のひび(クラック)。特に構造には影響しない・鉄筋のサビにも影響しないので補修の必要はないとされています。 「0.4mm、0.5mmだから絶対にヘアクラックではない!」と言う意味ではありません、あくまでひとつの目安です。明らかな破損や貫通しているひび割れと区別する必要があります。
↑ヘアクラックとされる写真 厚み0.3mm以下
2.構造クラック(貫通クラック)
設計や施工時の欠陥、地震や地盤沈下、周囲の影響などによって基礎内部から生じたクラック、片面だけでなく、裏面まで貫通しているクラック。幅が0.3mm以上、深さが4mm以上ある場合は可能性が高く、そこから雨水が入り込み鉄筋をサビさせる原因にもなるので補修が必要。
また、だんだんひびが増えたり、幅が広がる場合は、地盤沈下や不同沈下の可能性があります。
↑構造クラック(貫通クラック)と言われるひび。換気口の角の部分などには補強筋を入れますが、やはり出やすいです。
※つまり、そのひびが構造に関係する重大な「ひび」かどうか幅と深さを調べること、これ以上「ひび」が増えたり、大きくなったりしていないどうか経緯をみることが重要になります。
■ひびの幅の測定
ひびの幅を調べるには(商品名)「クラック スケール」という、透明なシートを使用してヒビの幅を計測します。(写真参照)
↑クラックスケール ・・・ホームセンターで500円程度で売っておりました。
代用品としてテレホンカード(って、テレカなんて若い人知りませんよね。)が厚み0.3mmとのことですので、ヒビに挿してみて入るようなら0.3mm以上の幅と言うことになります。シャープペンシルの芯を使う方もいるようです。
■原因
1.換気口など開口部は力が集中しやすく、普通補強筋を入れますが、入っていないとひび割れがおこります。 (開口補強筋が入っていない、または少ない場合。)
2.鉄筋の配置が片寄っていてコンクリートの厚さが足りなかったり、(かぶり厚さ) 型枠を早く外しすぎた場合などにひびが入ります。
3.工事中、コンクリートを後から継ぎ足した場合など、コンクリートの乾燥程度が違うため、ひびが入ることがあります。 (コールドジョイントと言います。) 特に夏場の工事は急激に乾燥してヘアクラックが発生することがあります。 セメントと水の配合も関係すると思います。
4.アンカーボルトや配管の筒(ボイド管)の位置、入れ方が悪く、補強筋なども入れていない場合。後でアンカーを打ったり、穴を開けたりした場合も基礎が破損することがあります。
5.外的要因である周辺の振動を伴う工事の影響や、道路の振動、地震、地盤沈下、不同沈下。
6.経年劣化 時間が経ってコンクリートが劣化した場合。
■対策・補修が必要な場合
1.ひびの幅が0.3mmを超え、深さが4mm以上の場合
2.ひび割れが徐々に大きくなったり、ひび割れが増える場合
■構造クラック(貫通クラック)だった場合の対策・補修方法
1.クラック部分をV字またはU字サンダーでカットし、コーキングをしてモルタルで表面を補修する。
2.すき間をエポキシ樹脂などクラック補修材を充てんする。
3.コンクリートを増し打ちする。
ヘアクラックの場合は補修の必要はありませんが、どうしても見た目が気になる場合の補修には、簡単なスプレータイプの補修材があります。下記リンク「ABC商会」の商品案内をご確認ください。
http://www.abc-t.co.jp/news/20060515/
■防止方法 (それでも、ひびは入ることがありますが・・・。)
1.「収縮目地」「誘発目地」と呼ばれる目地(スリット)を事前に細かく入れる。コンクリートの収縮・膨張をその目地=隙間で吸収して、他にひび割れることを予防します。ギザギザにひび割れていたら見た目も悪いですが、真っ直ぐになった目地であれば、「ひび」とは感覚が違ってきます。
目地にはコーキング(シーリング)をする場合もあります。構造体の場合は目地の厚み分が欠損にならないように、最初から目地の厚みを割増しした厚み、大きさにしたりします。絶対ではありません。それでもひびが入ることがあります。
↑土間コンクリートの目地(スリット) 基礎の立上りにも有効です。
2.基礎コンクリートの表面の仕上げを綺麗にする為に、化粧として薄くモルタルを塗っていることが多いですが、逆にそのモルタルが細かいひびが入ることもあります。
今はモルタルやコンクリートより柔らかい塗材を塗っているところもあるようです。基礎にひびが入っても目立ちにくいです。見た目も良くなり、コンクリートの保護にもなります。例えば「アイカ製 ジョリパット 基礎コート」のような製品があります。
↑ジョリパット基礎コート
■まとめ
建物は工場などで一定の環境の元、同じ品質で管理され、大量に生産されているのとは違い、どうしても工事現場の環境や施工方法、使用材料の性質などに大きく左右されます。
つまり「一点もの」なのです。
施工技術が未熟だと言われればそういう面も無いとは言えませんが、現場ではお客様の為に良くしたい、きちんとした仕事をしたいと思っていない人はおりません。あくまで「結果」としていろいろな不具合や心配な事項などは出てきますが、その場合はしっかりと原因を調べ、嘘偽りなくご報告し、できうる限り最善の手直しや改善をするしかないと思っていますが、なかなか理解いただけない事も多いです。
ここに書いたことが全て正しく、絶対だとは言いませんが、少なくとも「コンクリートの素材の性質上、ひび割れはするものだ。」と言うことを、まずご理解いただいた上で、冷静に調査し、ご判断、ご対応をしていただければと思います。
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